日本人の歯を失う原因の第一位であり、45歳以上の過半数がかかっているのが歯周病です。多くの人が当事者であるにもかかわらず、深刻に捉えている人が少ないのは、とてもゆっくり進行する病気だからかもしれません。
人生100年時代、歯の喪失はQOLの低下に大きく影響します。11月8日は、日本歯科医師会が設定した「いい歯の日」。将来のために、自分の口の健康について考えるきっかけにしましょう。

口内の乾燥が歯周病の発症リスクを高める
健康な成人の場合、1日平均1.0~1.5リットルの唾液が分泌され、口内の潤いが保たれています。唾液には、歯や歯間に付着した食べかすや歯垢を洗い流す自浄作用、細菌の増殖を抑える抗菌作用、酸から歯を守る被覆作用、歯の表面を修復する再石灰化作用などがあり、口内の健康維持に深く関わっています。
しかし、加齢に伴う疾患や服用している薬剤、水分不足、口呼吸、ストレスなどによって唾液分泌量が減少することがあります。このような状態を「ドライマウス(口腔乾燥症)」といい、唾液のさまざまな作用が期待できず、口内の衛生が維持しにくくなり、歯周病やむし歯になりやすくなります。
ドライマウスは、一般的に高齢女性に多いとされていますが、ストレス社会や昨今のマスク生活などによって幅広い世代で増加しており、潜在的な患者は多いと指摘されています。
その口臭、歯周病が原因かも⁉
食べ物が腐ったような臭いの口臭は、歯周病が原因の可能性が大です。この臭いは、歯周病菌が口の中のたんぱく質を分解する過程で発生します。歯周病が進行すると、歯周ポケットにたくさんの歯周病菌が潜んでしまい、歯みがきだけでは口臭が改善しません。心当たりのある場合は歯周病を疑い、治療をご検討ください。

口の中だけじゃない。全身に影響する歯周病
歯周病が全身の健康に及ぼすメカニズムについてはまだ研究が進められているところですが、歯周病菌や歯周病によって生まれた物質が全身へ回ることによって、さまざまな病気と関連していることがわかっています。
たかが歯周病と侮るなかれ。歯周病は、こんなに多くの病気と関わっています。
認知症
歯周病菌などが「アルツハイマー型認知症」を悪化させる可能性が指摘されています。
肺炎
歯周病菌の付着した食べ物などが誤って気管に入ると、「誤嚥性肺炎」の原因になることがあります。
循環器病
歯周病菌などが血管に直接障害を与えるのに加え、歯肉の炎症が原因でつくられた物質が血液を通じて移動し、心臓や血管の異常を引き起こすと考えられています。
糖尿病
糖尿病が歯周病を悪化させ、歯周病が糖尿病を悪化させるという関係があります。
肝疾患
歯周病菌などが「非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)」を悪化させると考えられています。
肥満
「内臓脂肪型肥満」の人は歯周病になりやすく、歯周病の人は内臓脂肪型肥満になりやすいという関係があります。
骨粗しょう症
骨粗しょう症の女性は歯周病が進行している傾向があります。
低体重児出産
低体重児(2,500g未満)を出産した女性は、正常児を出産した女性に比べて歯周病の重症度が高いことがわかっています。

毎日のケアとプロのチェックで歯周病を予防!
歯周病は、歯垢を放置することで歯周ポケットが深くなり、やがて歯を支える歯槽骨が溶けてしまう病気です。歯垢を付着したままにしないためには、1日1回は丁寧に歯みがきをする時間を設けること、歯ブラシだけではなく、フロス・歯間ブラシも使うことが大切です。
歯垢は、最初はおかゆのように柔らかいため、弱い力でも十分取り除けます。強い力でみがくと歯肉が下がって知覚過敏の原因になるので、優しくみがくようにしましょう。また、フロスは歯の側面の歯垢を取るのが目的です。片方だけでなく、前後両方の歯の側面の歯垢を取るイメージを持ちましょう。歯と歯のすき間が広い場合は、歯間ブラシの出番です。すき間より小さなサイズの歯間ブラシを選びましょう。
そして、時にはプロの手も借りましょう。歯科医院では、歯周ポケットのチェックや自分では取り切れない歯石の除去をしてくれます。歯周病は、セルフケアでは進行を止めることはできません。セルフケアと定期的な歯科健診で、効率よく歯周病を予防していきましょう。
厚生労働省は、ジェネリック医薬品の利用促進のための施策に積極的に取り組んでいます。
「ジェネリック医薬品お願いカード」は、日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会のホームページ(http://www.generic.gr.jp/)からダウンロードすることができます。また、ジェネリックに変更した場合の薬代については、Genecal(http://www.genecal.jp/)のサイトで調べることができます。