更年期障害は女性だけの問題と思っていませんか? 実は、男性にもホルモンの低下による更年期障害は存在します。
男性更年期障害は、身体症状よりも精神症状のほうが多いことが特徴です。うつ病だと思っていたら、更年期障害だったというケースも考えられます。知識の1つとして、男性更年期障害について覚えておきましょう。

原因は「テストステロン」の低下
男性更年期障害は「加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)」と呼ばれます筋⾁や⾻を強くしたり、性機能や判断⼒、理解力などを⾼める役割を持つ男性ホルモン「テストステロン」の分泌が、通常よりも大きく低下することで起こると考えられています。しかし、その他の要因も影響しているとみられ、発症のメカニズムははっきりとわかっていません。
女性更年期障害は、閉経前後で急激に女性ホルモン「エストロゲン」が減少するため、急に症状が現れます。一方、テストステロンの減少は20代から始まるため、症状が現れるのはゆっくりです。女性更年期障害は閉経後5年ほどで落ち着きますが、男性更年期障害には終わりがありません。男性更年期障害は自覚しにくく、さらには長引くケースも散見され、不調を抱えたまま過ごしている人もいることが推測されています。また、テストステロンは、過度なストレスや疲労によっても減少します。若年層でも更年期障害が起こることがあり得ますのでご承知おきください。

気になる場合は「AMSスコア」でチェック
男性更年期障害のスクリーニングとして、「AMS(Aging males' symptoms)スコアが広く用いられています。正確な診断には受診が必要ですが、AMSスコアで男性更年期障害の可能性をチェックしつつ、その症状を知ることができます。チェック後、37点(中等度)以上だった場合は男性更年期障害の可能性がありますので、受診を検討することをおすすめします。
担当科は泌尿器科となりますが、現在もなお研究が進む分野でもありますので、「男性更年期外来」や「メンズヘルス外来」などの専⾨外来を設けている病院に受診できればベストです。なお、治療は男性ホルモン補充療法が柱となります。
AMSスコア
なし:1 軽い:2 中等度:3 重い:4 非常に重い:5 を記入
症状 | 点数 | |
---|---|---|
1 | 総合的に調子が思わしくない | |
2 | 関節や筋肉の痛み | |
3 | ひどい発汗 | |
4 | 睡眠の悩み | |
5 | よく眠くなる、しばしば疲れを感じる | |
6 | イライラする | |
7 | 神経質になった | |
8 | 不安感 | |
9 | 体の疲労や行動力の減退 | |
10 | 筋力の低下 | |
11 | 憂うつな気分 | |
12 | 絶頂期は過ぎたと感じる | |
13 | 力尽きた、どん底にいると感じる | |
14 | ひげの伸びが遅くなった | |
15 | 性的能力の衰え | |
16 | 早朝勃起の回数の減少 | |
17 | 性欲の低下 |

中年男性で多いメンタル系疾患
5月、健康保険組合連合会が「令和3年度 被保険者のメンタル系疾患に関するレポート」を公表しました。1,308組合の被保険者(約1,583万人)のレセプトから、3つのメンタル系疾患の有病者数などを調査したものです。男性では、いずれのメンタル系疾患でも40~59歳が突出して多いことがわかります。

同レポートは、レセプトをもとにしているため原因についてまではわかりません。しかし、男性更年期障害によるメンタル不調だった場合は、心療内科の治療では改善されず、更年期障害を緩和する治療が必要となります。精神疾患として治療を続け、改善がみられない場合は男性更年期障害を疑ってみることも選択肢の1つとしてお考えください。
テストステロンを増やす生活習慣を
男性更年期障害の予防・改善のため、テストステロンを増やす生活習慣を心がけましょう。テストステロンは下記のようなことで増やすことができます。
- チャレンジする(競うスポーツや自分を高める趣味など)
- 体を動かす(スポーツでなくても歩くことでOK)
- よい睡眠をとる(就寝前にスマホをさわらない)
- リラックスする(お風呂に浸かる、大声で笑うなど)
- 人とかかわる(刺激を受ける人付き合い)
厚生労働省は、ジェネリック医薬品の利用促進のための施策に積極的に取り組んでいます。
「ジェネリック医薬品お願いカード」は、日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会のホームページ(http://www.generic.gr.jp/)からダウンロードすることができます。また、ジェネリックに変更した場合の薬代については、Genecal(http://www.genecal.jp/)のサイトで調べることができます。