世界保健機関(WHO)は世界における死亡に対する危険因子として、高血圧、喫煙、高血糖に次いで、身体活動*1・運動*2の不足を第4位に位置付けています。身体活動・運動が健康寿命の延伸に寄与することは、皆さんもうご承知のとおりですね。
さて、2023年11月、10年ぶりに「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023(厚生労働省)」が改訂されました。
同ガイドには、最新の科学的知見に基づき、健康のためにどのくらい運動したらよいかが示されています。ふだんの身体活動・運動が足りているかどうかを振り返り、足りていない場合はできるところから少しずつ、身体を動かしていきましょう。
*1 安静にしている状態よりも多くのエネルギーを消費する、骨格筋の収縮を伴うすべての活動
*2 身体活動のうち、スポーツやフィットネスなどの健康・体力の維持・増進を目的として、計画的・定期的に実施されるもの
熱中症には注意しましょう!!
健康のために身体を動かすことは重要ですが、厳しい暑さのなか屋外で運動することはおすすめできません。冷房の効いたフィットネスクラブを利用する、屋内のショッピングモールを買い物がてら歩くなど、涼しい場所で安全に身体を動かしましょう。前回の「すこやかONLINE/未体験の暑さに備えよう」もご参照ください。

成人の場合、1日8,000歩以上を推奨
成人の場合、強度が3メッツ(囲み参照)以上の身体活動を週23メッツ・時以上行うことが推奨されています。すべてウオーキングで換算すると、1日60分歩くと、ほぼ週23メッツ・時に相当します。60分は約6,000歩ですが、3メッツ未満の家事などの生活行動*3が1日約2,000歩ありますので、1日の歩数としては8,000歩以上を目指すようにしましょう。
高齢者の場合は、3メッツ以上の身体活動を週15メッツ・時以上行うことが推奨されています。ウオーキングにすると1日約40分、成人と同じように3メッツ未満の歩数も勘案すると、目標とすべき1日の歩数としては6,000歩以上となります。
*3 身体活動の一部で、日常生活における家事・労働・通勤・通学などに伴う活動
「メッツ」とは?
安静に座っているときを「1メッツ」とし、その何倍のエネルギーを消費するかという身体活動の強度を表す指標です。
(例)体重50kgの人が30分歩いたとき
3.0メッツ×0.5h×50kg=75Kcal
この運動は何メッツ? | |
2.5 | ヨガ |
3.0 | 歩行、ボウリング、ピラティス、太極拳 |
3.5 | 体操(軽・中等度)、ゴルフ(手引きカート) |
4.0 | 卓球、パワーヨガ、ラジオ体操第1 |
4.5 | テニス(ダブルス)、水中歩行(中等度)、ラジオ体操第2 |
5.0 | 速歩(107m / 分)、野球、ソフトボール、サーフィン、バレエ、筋トレ(スクワット) |
5.5 | バドミントン |
6.0 | ゆっくりとしたジョギング、ウエイトトレーニング(高強度)、バスケットボール、水泳(のんびり) |
6.5 | 山を登る(0~4.1kgの荷物) |
7.0 | ジョギング、サッカー、スキー、スケート |
8.0 | サイクリング(20km / 時)、激しい強度の筋トレ |
9.0 | ランニング(139m / 分) |
10.0 | 水泳(速いクロール、69m / 分) |

成人も、高齢者も、週2~3日の筋トレを推奨
同ガイドに新しく追加されたポイントとして、成人も、高齢者も、週2~3日の筋力トレーニングが推奨されたことが挙げられます。健康づくりのためには身体活動を増やすだけでは不十分で、ある程度の運動も必要であることが示されました。
筋トレは、マシンやダンベルなどを使用するウエイトトレーニングだけでなく、自重で行う腕立て伏せやスクワットなどでもかまいません。生活機能の維持・向上だけでなく、病気の予防や死亡リスクの軽減、有酸素運動と組み合わせるとさらなる健康効果が期待できるなど、メリットの大きい習慣です。
ただし、個人差があるためいきなりハードな筋トレは厳禁です。ケガにつながらないよう最初は軽めで、少しずつ負荷を上げて取り組んでいきましょう。

座っている時間を少なくすることを推奨
また、同ガイドでは新たに「座位行動(座りっぱなし)」という概念が取り入れられました。これまでの研究により、座位時間が長いと身体にさまざまな悪影響を及ぼすことがわかってきました。座っている時間が長いほど死亡リスクが増加する一方、30分ごとに座位行動を中断することで食後血糖値や中性脂肪など心血管代謝疾患のリスク低下につながることが報告されています。
特にデスクワークの方は、座っている時間が長くなりがちです。30分ごとに立ち上がるなど、同じ姿勢を長時間とらないようにしましょう。集中して仕事をするのはよいことですが、健康のほうが優先です。意識するのが難しい場合は、アラームなども活用しましょう。
インドア派のこどもにも、
身体を動かすことが推奨されています
同ガイドでは、身体を動かす時間の少ないこどもの場合、1日平均60分以上の何らかの身体活動を行うことが推奨されています。ただし、急に高強度・高頻度の身体活動を行うのではなく、軽い活動から始めて徐々に強度や頻度、時間を増やしていきましょう。また、こどもも座りっぱなしの時間を減らすことが必要です。テレビやゲーム、スマホなどのスクリーンタイムを減らすようにしましょう。
厚生労働省は、ジェネリック医薬品の利用促進のための施策に積極的に取り組んでいます。
「ジェネリック医薬品お願いカード」は、日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会のホームページ(http://www.generic.gr.jp/)からダウンロードすることができます。また、ジェネリックに変更した場合の薬代については、Genecal(http://www.genecal.jp/)のサイトで調べることができます。

マイナ保険証利用のお願い
医療機関の受診時や調剤薬局ではマイナ保険証のご利用をお願いいたします。皆さんのマイナ保険証利用率の増加が、医療費の削減や健康保険組合から納付する支援金の減額に寄与します。健保財政の改善につながるよう、皆さんのご協力をお願いいたします。
使ってみよう!マイナ保険証
マイナンバーカード 「いま」と「これから」