お酒を飲む機会が増える12月となりました。
飲みすぎがもたらす健康への害については、もはや周知の事実です。2024年2月、厚生労働省は飲酒リスク周知のため「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を公表しました。
今回は同ガイドラインの概要についてご紹介しますが、一方で日本の「伝統的酒造り」がユネスコの無形文化遺産に登録される見通しになるなど、お酒は人類が数千年も前から造り続けている身近な嗜好品であり、人生の楽しみになっている人もいることでしょう。〝飲むな〟とまではいいませんので、リスクを理解したうえで健康を第一に嗜むようにしてください。

男性では
1日ビールロング缶
2本以上で
生活習慣病リスクが
上がる
同ガイドラインでは、生活習慣病リスクを高める飲酒量として、1日あたりの純アルコール量で男性40g以上/女性20g以上としています。ビール(アルコール度数5%)500mLロング缶の純アルコール量が20gなので、1日に男性はロング缶2本以上、女性は1本以上飲むと、リスクを上げることになります。
ただし、純アルコール量で男性40g以上/女性20g以上飲まなければ生活習慣病にならないというわけではありません。飲酒量は少ないほどよく、摂取する純アルコール量が少ないほど健康リスクは少なくなると覚えておきましょう。
また、性別だけでなく、年齢や体質によってもリスクが高まります。下記にまとめておきましたのでご参考ください。
年齢・性別・体質別の飲酒リスク | |
---|---|
年齢 |
高齢者は体内の水分量が少ないため酔いやすく、一定量を超えると認知症になる可能性が高まります。また、飲酒による転倒・骨折、筋肉の減少のリスクも高まります。 |
性別 |
女性は一般的に男性と比べて体内の水分量が少なく、分解できるアルコール量も少ないうえに、エストロゲン(女性ホルモン)の働きによりアルコールの影響を受けやすくなっています。 |
体質 |
お酒を飲むと顔が赤くなったり、動悸や吐き気がする「フラッシング反応」を起こす人が、日本では41%いるといわれています。こうした人が長年飲酒して、不快にならず飲酒できるようになった場合でも、口の中のがんや食道がん等のリスクが非常に高くなるため要注意です。 |
使ってみよう
「アルコールウォッチ」
厚生労働省がWEBツール「アルコールウォッチ」をリリースしました。飲んだお酒の種類と量を、ドラッグ&ドロップして棚に並べ、「計算する」をクリックするだけで、純アルコール量とアルコールの分解時間が表示されます。自分の飲酒習慣を振り返るツールにしてみてください。きっと驚かれる方もいらっしゃると思いますよ。

少しでも
飲酒すると上がる、
高血圧のリスク
アルコールの大半は小腸から吸収され、血液を通じて全身を巡り、肝臓で分解されます。全身を巡るため、飲みすぎると全身に影響を及ぼします。
同ガイドラインでは、疾病別に発症リスクを上げる飲酒量についてもまとめられています。疾病によって幅はありますが、高血圧、男性の胃がん・食道がん、女性の脳卒中(出血性)については少しでも飲酒すると発症リスクが上がるため、やはり飲まないに越したことはないようです。
●疾病別の発症リスクと飲酒量
(純アルコール量)
疾病名 | 飲酒量(純アルコール量) | |
---|---|---|
男性 | 女性 | |
脳卒中(出血性) | 150g/週(20g/日) | 0g< |
脳卒中(脳梗塞) | 300g/週(40g/日) | 75g/週(11g/日) |
虚血性心疾患・心筋梗塞 | 研究中 | 研究中 |
高血圧 | 0g< | 0g< |
胃がん | 0g< | 150g/週(20g/日) |
肺がん(喫煙者) | 300g/週(40g/日) | データなし |
肺がん(非喫煙者) | 関連なし | データなし |
大腸がん | 150g/週(20g/日) | 150g/週(20g/日) |
食道がん | 0g< | データなし |
肝がん | 450g/週(60g/日) | 150g/週(20g/日) |
前立腺がん(進行がん) | 150g/週(20g/日) | データなし |
乳がん | データなし | 100g/週(14g/日) |
※飲酒量の数値は、研究結果によりそれ以上の飲酒をすると発症等のリスクが上がると考えられるもの(1日あたりは参考値)。「0g<」は少しでも飲酒をするとリスクが上がると考えられるもの。

飲酒〝量〟を
減らすために
お酒がもたらす健康への影響を理解したうえで、適切な距離感を保つのがオトナの飲み方です。「飲みすぎた」と思ったら以後数日はお酒を控え、飲酒量を調整するといった工夫が大切です。
たとえば、1週間のうち、まったくお酒を飲まない日(休肝日)をつくれば、その分飲酒量は減ることになります。休肝日は、依存症予防のためにも大切です。週に何日かは休肝日をつくり、肝臓を休ませるとともに飲酒が習慣になるのを防ぎましょう。うっかり飲んでしまわないように、休肝日はお酒を目につかないところにしまっておくのがおすすめです。
お酒が健康によくないものである以上、体を壊さず飲むことのできる人生の総量は決まっていると考えるほうが自然です。そう考えると、二日酔いするような飲み方や、ネガティブな気持ちで飲むお酒はもったいないと思いませんか? おいしいお酒を長く楽しめるように、適切な距離を保ちましょう。
厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37908.html
厚生労働省は、ジェネリック医薬品の利用促進のための施策に積極的に取り組んでいます。
ジェネリックに変更した場合の薬代については、日本ジェネリック製薬協会の「かんたん差額計算」(https://www.jga.gr.jp/general/easycalc.html)で調べることができます。
また、「ジェネリック医薬品希望カード」も日本ジェネリック製薬協会のサイト(https://www.jga.gr.jp/)一般の方向け情報から印刷することができます。

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